京都家庭裁判所 昭和30年(家)2581号 審判 1955年12月20日
国籍
(元本籍 朝鮮成鏡北道○○郡○○○○番地)
住所
京都市右京区○○○○○○○○町○番地
申立人
大野洋子(仮名)
国籍
(本籍並住所 右同)
未成年者
南永明(仮名)
国籍
(本籍並住所 右同)
未成年者
南豊(仮名)
(申立代理人 石川功)
上記申立の昭和三〇年(家)第二五八一号、二五八二号後見人選任事件につき当裁判所は申立を相当と認めて次のとおり審判する。
主文
申立人を上記未成年者南永明南豊両名の後見人に選任する。
(家事審判官 窪田武丕)
申立の趣旨
後見に付せらるべき未成年者両名の後見人として両名の母たる申立人を選任する。
との御決定を求める。
申立の理由
1 申立人は本籍兵庫県○○郡○○村○○○○番地大野勇(仮名)の子であり昭和十六年八月南田安治(仮名)事、南徳円(仮名)と事実上婚姻し昭和十七年三月二十四日長男永明を儲けた後同年六月二十日婚姻届をしたので夫の戸籍である朝鮮成鏡北道○○○○○○○○○○番地へ入つた其の後申立人は夫と共と長男を連れ同年六月末渡満し佳木斯安民街一段地に居を設け昭和二十年一月十三日二男豊を儲けた。
2 昭和二十年五月頃申立人の夫は「離婚するから子供を連れて内地に帰るよう」申し終戦と同時に夫は八路軍に入隊し連絡が絶えた。申立人は子供二人を連れ朝鮮を経由苦労して昭和二三年六月日本人として帰国許可を受け同年七月六日日本に帰国した。
そして父大野勇(仮名)の庇護で肩書地で生活しておる。
3 申立人と二人の子供は帰国に際し日本人とし取扱われたが法律上朝鮮人であり昭和二十九年六月二十二日朝鮮人として外人登録を受けた。然し申立人及二人の子供は日本に安住する意思であり再び朝鮮に帰る気持はないが日本在留期間は昭和三十一年六月二日迄であるので帰化手続を執りたく先ず申立人は夫と離婚した(東京地方裁判所昭和三十年(タ)第一三一号離婚事件の確定判決に基くもの。)
4 処が朝鮮民事令では母が親権を行使し得るや疑点あり、離婚後申立人が子供等と共に帰化手続を執らんとせし処正式に二人の未成年者たる子供のため母親たる申立人を後見人に選任手続を執るべき旨法務省民事局に於て要求された。
5 依而住所地を管轄する御庁に未成年者二人の後見人として申立人を選任賜りたく本申立に及んだ次第です。